静かな部屋で、ふいに「キュッ」という音が聞こえたことはありませんか？
ゴキブリが鳴くという話を聞いたことがあるかもしれませんが、本当にゴキブリが鳴くのか疑問に思っている方も多いでしょう。
実は、一部のゴキブリは鳴くことが確認されています。
この記事では、次の疑問に答えていきます。
- ゴキブリは本当に鳴き声を上げるのか？
- ゴキブリの鳴き声とはどのような音なのか？
- ゴキブリはどのようにして鳴くのか？その理由は？
部屋から聞こえてくる謎の鳴き声の正体を一緒に探りましょう。
ゴキブリは「キュッ」と鳴く生物なのか？
ゴキブリが鳴くことはある種類に限られる現象ですが、特にクロゴキブリ（大きくて真っ黒な種類）で観察されることが多いです。
ゴキブリの鳴き声は以下の状況でよく耳にされます。
- 隠れている場所から「キュキュッ」という音が聞こえる。
- 薬剤を使って退治する際に「ギィギィ」と苦しそうに鳴く。
一般に、多くの人はゴキブリが鳴く声を直接聞いた経験は少ないかもしれませんが、鳴くことが確認されています。
また、捕食者に捕まえられたときに、助けを求めるかのような「チュッチュッ」という奇妙な鳴き声を上げることも報告されています。
ゴキブリの鳴き声のメカニズム
ゴキブリがどのようにして鳴くのかというと、人間や他の多くの動物とは異なり、ゴキブリには「声帯」がありません。
そのため、以下のような方法で音を発しています。
- 羽根をこすり合わせる
- 足をこすり合わせる
これらの行動は日本に生息するゴキブリに特に見られる行動です。
従って、彼らが出す音は技術的には「鳴き声」というよりは「摩擦音」と考えるのが正確です。
しかし、一般的には便宜上「鳴き声」と表現しています。
また、「マダガスカルゴキブリ」と呼ばれる種類は、気門から空気を押し出して「シュー」という音を発することが知られています。
これは、ペットとしても人気のあるゴキブリで、その鳴き声は他のゴキブリとは一線を画します。
ゴキブリが鳴くタイミングと理由
ゴキブリが鳴く具体的な理由はまだ完全には解明されていませんが、一般的に考えられるシナリオは以下の三つです。
- 身の危険を感じたとき
- 仲間を呼ぶ目的
- 求愛のため
例えば、部屋の片隅から「キィキィ」という音がする場合、それは仲間を呼んだり求愛行動の一環である可能性があります。
また、物理的なダメージを受けている時（例えばハエたたきで叩かれた時）に「ギィ、ギィ」と鳴くのは、瀕死の状態で仲間に危険を知らせたり、援助を求めるためと考えられます。
これらの鳴き声は、ゴキブリが特定の状況下で自然に発するものであり、単に身体が擦れ合うことで発生する音とは異なります。
これは、ゴキブリの生態の一部として重要な役割を果たしていることを示しています。
ゴキブリの鳴き声の多様性
ゴキブリの鳴き声には様々なバリエーションがあり、聞いた人によってその表現も異なります。
一部の例を挙げると、以下のような音が報告されています。
- キュッ、キュッ
- キィキィ
- キーキー
- キュイ、キュイ
- キューキュー
- ジッ、ジッ
- ギッギッ
- シュシュシュ
- キッキッ
- カチカチ
これらの音は、ゴキブリがさまざまな状況で発するものであり、地域や個体によって聞こえ方が異なることがあります。
しかし、これらがすべてゴキブリの鳴き声であるとは限らず、他の虫や小動物の音と混同されることもあります。
そのため、不審な鳴き声を聞いた際には、その出所を確認することが重要です。
他の虫や小動物の可能性
家の中で聞こえる虫の鳴き声がすべてゴキブリのものではないことも多いです。
実際に、次のような他の生物も類似の音を出すことがあります。
カネタタキ（キッキッキッキッ）
この虫はバッタの一種で、1cm程度の小さな体を持ち、その名前は日本の伝統的な楽器の音に似た鳴き声に由来します。
ヤモリ（キキキー）
壁を登る小さな爬虫類で、独特の高い鳴き声を発します。
ネズミ（キュキュ、ジジジッ）
家の中でよく見かける小動物で、特に夜間に活動的になります。
これらの生物は、特に都市部の住宅で共存することが多く、ゴキブリと間違えやすいです。
特に「カネタタキ」は、その微細な鳴き声でしばしばゴキブリと誤認されますが、観察すると明らかに異なる特徴を持っています。
ゴキブリのコミュニケーション！フェロモンによる情報伝達
ゴキブリがコミュニケーションを取る主要な方法は、実は鳴き声ではなく、フェロモンを使ったものです。
フェロモンは特定の化学信号であり、ゴキブリが仲間と情報を共有するために用いられます。
具体的には、ゴキブリは以下の二種類のフェロモンを発します。
分散フェロモン
これは危険を感じた時や、一箇所に多くの個体が集まりすぎた時に、他のゴキブリに「ここから離れるよう」警告するために用いられます。
集合フェロモン
これは逆に、「ここは安全で魅力的な場所だ」と知らせるために用いられ、他のゴキブリをその場所に呼び寄せます。
フェロモンは、ゴキブリのフンやその他の分泌物を通じて放出され、非常に強力な引き寄せ効果があることが研究で明らかになっています。
そのため、ゴキブリが見られる場所にフンがある場合、そのフンを迅速に掃除することが推奨されます。
分散フェロモンの役割
ゴキブリが発する分散フェロモンは、個体間で特定の状況下の警告を伝えるために重要な役割を果たします。
このフェロモンは主に次のような状況で発されます。
- 周囲に危険が迫っていると感じたとき
- その場所が過密状態になり、生活に適さなくなったとき
分散フェロモンは、ゴキブリが他の個体に「この場所に近づかないように」と伝えるために用いられ、ゴキブリの生存戦略の一環として機能します。
これにより、ゴキブリは効果的にリスクを避け、より安全な環境へと移動することが可能となります。
集合フェロモンの機能
集合フェロモンはゴキブリが互いに安全で利益のある場所へと誘導するために使用します。
このフェロモンは特に以下のような状況で重要です。
- 良質の食料が豊富にある場所
- 安全で生息に適した環境
ゴキブリがこのフェロモンを発すると、他のゴキブリは集合フェロモンが発せられている場所に引き寄せられます。
これにより、新しいコロニーが形成されることもあります。
集合フェロモンはゴキブリの社会性の一面を示し、共同で生活する場を効果的に管理する手段として機能しています。
まとめ
ゴキブリが鳴き声を発すること、その音がどのようなものであるか、そして彼らがどのようにしてコミュニケーションを取るかについて見てきました。
重要なポイントをまとめると次のようになります。
- ゴキブリは特定の状況下で鳴き声を発することがありますが、その音は人によって異なり感じられることがあります。
- ゴキブリの鳴き声は多種多様で、他の虫や小動物の音と間違えられることが多いです。
- ゴキブリの主なコミュニケーション手段はフェロモンを通じており、これには集合フェロモンと分散フェロモンの二種類があります。
これらの知識は、ゴキブリの行動を理解し、適切に対応するために役立つでしょう。
もし部屋から怪しい音が聞こえた場合、それがゴキブリのものかどうかを判断する際に、今回の情報が参考になるはずです。
