日本で愛されるさつまいもには様々な種類がありますが、特に人気の「紅はるか」と「紅あずま」は、多くの人に選ばれています(ちなみに、最も多く栽培されているのは「コガネセンガン」です)。
これら二つのさつまいもは一見似ていますが、見分け方を知ることで、その違いは明らかになります。
この記事では、見た目の差や選び方、そしてそれぞれの種類が料理やスイーツ作りにどのように適しているかをご紹介します。
「紅はるか」と「紅あずま」の魅力的な違いとは?詳細な比較
「紅はるか」と「紅あずま」、この二つの名前が似ているさつまいもは、一見するととても似ていますが、じつはいくつかの明確な違いがあります。
それらの違いは、主に以下の点に集約されます。
生産地とそれぞれの旬の時期
どちらのさつまいもがどの地域でどの時期に最もおいしくなるのか、という点です。
皮と果肉の色
見た目の色の違いは、これら二つのさつまいもを見分ける大きな手がかりになります。
糖度と食感の差
お菓子や料理に使う際の味わいの違いを生み出す、糖度と食感の違いです。
これらの特徴をしっかりと理解しておくことで、日常の買い物や料理の際に、より自分や家族が好むタイプのさつまいもを選ぶことができるようになります。
次では、これらのさつまいもが持つ見た目の違いと、それぞれの糖度の特徴について、さらに詳しくご説明します。
見た目だけで「紅あずま」と「紅はるか」を見分けることは可能?
「紅あずま」と「紅はるか」は葉の形が同じで、苗の段階では判別が難しいです。
しかし、実際に芋として成長した後は、見た目の違いで簡単に区別ができるほど、その特徴は顕著になります。
色の濃さや形状の違いは、これら二つのさつまいもを見分ける大きな手がかりとなります。
勿論、個々のさつまいもによって多少の個体差はありますが、以下に挙げる特徴を基準にしてみると、見た目だけで「紅あずま」と「紅はるか」の区別がつくようになるでしょう。
「紅あずま」の見た目の特徴とは?
「紅あずま」は、その皮が濃い赤紫色をしており、見た目がゴツゴツしていることがひとつの特徴です。
色や形は比較的揃っており、整った印象を受けることが多いです。
これらの特徴は、「紅あずま」を他のさつまいもと見分ける大きな手がかりになります。
また、果肉は鮮やかな黄色で、粉質の食感が特徴的です。
断面を見ることができれば、その色と質感からも「紅あずま」であることを見分けることが可能です。
このように、「紅あずま」は見た目の特徴だけでなく、切断面からもその特性を確認できるのです。
「紅はるか」の特徴的な外観
「紅はるか」の外観は、「紅あずま」と比較すると、多少の違いがあります。
特に皮の色が明るい紫色であり、形状がのっぺりとしていることが特徴で、もし「紅あずま」と並べて比較すれば、この違いは一目瞭然です。
紅はるかのもう一つの特徴は、切断面から見られる白っぽい黄色で、特有の「ヤラピン」と呼ばれる白い乳液が出ることです。
これは「紅はるか」特有の現象であり、断面が見られる場合には、この特徴を目安にして「紅はるか」だと判断することができます。
このように、紅はるかは単独で見た場合には判断が難しいかもしれませんが、紅あずまと比較することで、その違いを明確に理解できます。
「紅あずま」と「紅はるか」の糖度の違い
「紅あずま」と「紅はるか」の最も大きな違いのひとつに、糖度があります。
この違いは、さつまいもを選ぶ際や料理に使用する際に、重要なポイントとなります。
紅あずまの糖度は生の状態で約14度、加熱すると32度ほどに上昇します。
このため、紅あずまはホクホクとした食感が特徴で、一般的にスーパーで売られている焼き芋によく使用されます。
対して、紅はるかの糖度は生の状態で約35度と非常に高く、加熱後はさらに上がって50~60度に達します。
この高い糖度により、紅はるかはねっとりとした甘みが特徴で、甘いスイーツや焼き芋に最適です。
このほか、安納芋の糖度は20度、シルクスイートは8度とされており、一般的なさつまいもの糖度が7度前後であることを考えると、紅あずまも紅はるかも特に糖度が高い品種であることがわかります。
この糖度の違いを理解しておくことで、目的に合ったさつまいもを選ぶことができます。
「紅あずま」と「紅はるか」の特性と最適な調理法
さつまいもを使った料理やスイーツをより美味しく作るためには、その特性に合った種類を選ぶことが重要です。
ここでは、「紅あずま」と「紅はるか」の特性を踏まえ、それぞれに適した調理法をご紹介します。
「紅あずま」と「紅はるか」は、見た目や糖度の違いがありますが、これらの特性を活かした調理法を選ぶことで、料理やスイーツの味わいをより引き立てることができます。
では、それぞれの特性に合わせた調理法について見ていきましょう。
ホクホク食感が魅力の「紅あずま」、料理にもスイーツにも
「紅あずま」は、12月から2月の間が旬で、主に茨城県や千葉県で栽培されています。
このさつまいもの特徴は、繊維質が少なく、優しい甘さとサラサラとした粉質の食感です。
加熱すると、そのホクホクとした食感がより際立ちます。水分が少なめなので、天ぷらや煮物など、さまざまな料理に使えるのが大きな魅力です。
また、このホクホクした食感はお菓子作りにも最適で、サツマイモの風味を生かしたスイーツやパン作りにもぴったりです。
紅あずまはその汎用性の高さから、家庭料理においても幅広く活用できるさつまいもとして注目されています。
糖度が高く、ねっとりとした食感が特徴の「紅はるか」、スイーツ作りに最適
「紅はるか」は、11月から1月が旬で、特に九州地方で多く栽培されています。
このさつまいもの最大の特徴は、強烈な甘さとねっとりとしたクリーミーな食感です。
この特性は、加熱するとさらに顕著になり、水分が多く出るため、非常にしっとりとした焼き上がりが楽しめます。
特にスイーツ作りにおいて、「紅はるか」のこれらの特性は大きな強みとなり、その強い甘みとクリーミーな食感は、濃厚な焼き芋やスイートポテト、さつまいもパイなど、甘さを前面に出したスイーツの味わいを格段に引き上げてくれます。
紅はるかを使ったスイーツは、その独特の風味と食感で、多くの人を魅了すること間違いありません。
シルクスイートとは?「紅あずま」と「紅はるか」の中間の魅力
シルクスイートは、その名の通りシルクのような滑らかな食感が特徴のさつまいもで、紅あずまと紅はるかの特性を併せ持つ面白い品種です。
収穫直後は、粉質でサラサラとした食感が特徴で、この点では紅あずまに近い性質を持っています。
しかし、時間が経つにつれて甘みが増し、食感もねっとりと変わっていくため、貯蔵によっては紅はるかのような滑らかな食感を楽しむことができます。
糖度は約8度前後と、紅はるかほど高くはありませんが、そのやさしい甘さは多くの人に愛されています。
シルクスイートのこの独特な変化を楽しむことができるのも、さつまいもを選ぶ醍醐味の一つです。
紅あずまと紅はるかのいいところを合わせ持つシルクスイートは、料理やスイーツによってさまざまな表情を見せてくれる魅力的なさつまいもです。
「紅あずま」と「紅はるか」の価格比較
「紅あずま」と「紅はるか」の価格は、以下のようになっています。
○紅あずまは、1本で198円、3本セットで390円(税抜)となっており、比較的手頃な価格で購入できます。
○紅はるかは、1本で158円、3本セットで298円(税抜)と、紅あずまよりもやや安価です。
スーパーマーケットでは、これらのさつまいもをバラ売りで購入することができるため、自分の好みや用途に合わせて選ぶことが可能です。
また、季節や時期によってさまざまな種類を試してみるのもおすすめです!
オンラインショッピングを利用する場合、5kgあたりの価格は紅あずまが2600円、紅はるかが2980円となっており、まとめ買いを考えている場合、紅あずまの方が若干お得に感じるかもしれません。
ただし、サイズや無農薬栽培などの条件によっては価格が大きく変わることもあるため、購入時にはしっかりとチェックすることが大切です。